韓国のレコード・コレクターが選ぶ、激レア韓国レコード5枚

みなさんご存知の通り、BTSなどのK-POPアーティストが近年、世界を席巻していますが、昔の韓国のレコードにも良い音楽はまだまだ埋もれています。お隣の国でありながら、韓国の古い音楽やレコードは熱心なコレクター以外に、日本であまり知られていないと思います。今回は、韓国のレコード・コレクターが選んだ、素晴らしい音楽かつ激レアな韓国レコードをご紹介です。

(レコード・コレクターの観点から) 1960年代から70年代が韓国音楽の黄金期と言われますが 、その年代の韓国のレコードは今では非常に入手困難となっています。特に韓国産のサイケデリック・ロックは、コレクターの間で高額な値段で取引されています。しかし、今回レコードを紹介してくれるコレクターは偶然に、いや、絶え間ない努力によって幻の韓国産レコードを発掘し、収集し続けている5人です。


dj soulscape

DJ Soulscape

Discogs: まずは、自己紹介を簡単にお願いします。

DJ Soulscape: 名前はパク・ミンジョンで、ソウルでDJ、プロデューサーとして活動しています。また、RM360というレコード・ストアのディレクターも務めています。

Discogs: Discogsは普段、利用しますか?

DJ Soulscape: 未だ、Discogsでレコードの売買をしとことはありませんが、レコードの情報を調べる時によくチェックしています。私のアルバムについて、以前に検索したこともありますよ。

Discogs: ご自身にとって韓国のレコードとはどのような存在、価値でしょうか?つまり、韓国のレコードを集めている理由とは何なのでしょうか?

DJ Soulscape: 特にこれといった理由はないのですが、強いていうと、両親が韓国のレコードを集めていたということが関係すると思います。サン・ウル・リムシン・ジュンヒョン&ヨプ・チョンドゥルなどの韓国音楽を聞いて育ちました。

dj souldscape holy grail

Discogs:  今回、選んで頂いたレコードを紹介してください。

DJ Soulscape: 今回選んだのは1971年にリリースされたキム・ヒガプ・バンドの「Go Go Sound Vol.1」というレコードです。イファ女子大学の近くのレコード店で見つけました。同年代に発売されたサイケデリック・ロックに比べて、このレコードは異質で、とてもユニークだと思います。伝統的なリズムの新しい解釈、ラテン、ブーガルー、ジャズをブレンドし、韓国のサイケデリック・ロックのオリジナリティをうまく提示しています。後にキム・ヒガプ、ご本人に会う機会があったのですが、彼は韓国の軽音楽史とその価値が、現在ひどく衰えていると嘆いていました。それ以来、私は70年代の音楽に興味を持ち始めました。


tiger disco

Tiger Disco

Discogs: 自己紹介を簡単にお願いします。

Tiger Disco: 私は韓国のDJ兼レコード・コレクターで、タイガー・ディスコという名前で活動しています。また、みなさんにグッド・ミュージックとお酒を楽しんで貰えるようにソウルのウルチロでバー「タイガー・ディスコ」を経営しています。DJを始めた頃は、韓国の音楽を中心にプレイしいた為に孤立していましたが、今ではディスコ、シティ・ポップ、70年代の韓国ポップスなどバランスを取りながらDJし、昔年の辛みを晴らしていますね(笑)。

Discogs: Discogsは普段、利用しますか?

Tiger Disco: Discogsでレコードを販売したことはありませんが、普段レコードを買ったり、情報を検索する為に利用しています。

Discogs: ご自身にとって韓国のレコードとはどのような存在、価値でしょうか?また、韓国のレコードを集めている理由とは何なのでしょうか?

Tiger Disco: 韓国の古いレコードは、他の国のレアなレコードを見つけるよりも、難しいと言っても過言ではないと思います。たとえば、Daedo RecordsOasis RecordsJigu Records などのレーベルの初期の録音は、どの音楽Webサイトでも見つけることができません。YouTubeで聞くことも困難です。なので、韓国中の辺鄙な場所を巡ってレコードを探しています。それを踏まえ、韓国の音楽にしか見られないブレイクやソウルを発見することが、私にとって韓国のレコードを集める主な理由だと思います。

(*ブレイク: DJプレイしやすい、または踊りやすい曲中の箇所。時には1小節や4小節しかない場合もある。)

tiger disco holy grail

Discogs: 今回、選んで頂いたレコードを紹介してください。

Tiger Disco: 今回選んだのは、サン・ア インダストリーによってプロデュースされたコンピレーション、「약진하는 한국 메이커です。1971年にSin Seki レーベルからリリースされた、プロモーショナル・オンリーのレコードです。このレコードはちょっと変わっていて、レコードの冒頭にモナミ化学などの韓国企業の宣伝が挿入されています。このコンピレーションには、当時人気だったザ・サーチャーズの「Love Portion No.9」やキム・チュジャの「꿈속의 나오미」が収録されているんですが、Bサイドの最終曲となる「Over the Rainbow」のディープなサックス、スムースなコーラスがお気に入りですね。DJセットの一番最後によくプレイしています。(恐らくこの曲は日本でリリースされた「Mood in Sax. 1」に収録されたギル・オクユンの「Over the Rainbow」と同トラックだと推測されています。)このレコードの興味深いところは、ジャケットの表紙に「スポンンサーシップ: 韓国ポップ・ジョッキー協会」と表記されている所です。当時の韓国人は「ディスク・ジョッキー」と合わせて「ポップ・ジョッキー」という言葉も使っていたのかもしれませんね。


curtis cambou

Curtis Cambou

Discogs: 自己紹介を簡単にお願いします。

Curtis Cambou: 私の名前はカーティスで、DJ、レコード・コレクター兼ディーラー、そしてMosaic Seoulというレコード店を経営しています。また、韓国の実験的な音楽の再発見、また紹介する為に Daehan Electronicsというレーベルを運営しています。

Discogs: Discogsは普段、利用しますか?

Curtis Cambou: はい。mosaic_seoulという名前で、レコードを販売しています。

Discogs: ご自身にとって韓国のレコードとはどのような存在、価値でしょうか?また、韓国のレコードを集めている理由とは何なのでしょうか?

Curtis Cambou: 私はフランス人なのですが、現在韓国に居住し、韓国のレコード業界に身を置いています。そういった事情が、私が韓国のレコードが好きで、コレクションをしている理由の一つだと思います。しかし、それだけが理由でありません。その昔、韓国の音楽は表現の自由が制限されていて、特に70年代は厳しいものでした。しかし、そういった情勢の中でも多くの韓国人ミュージシャンが音楽で自身を表現しようと挑戦していました。そういった事情から、私は韓国のレコードに惹かれるのだと思います。まだまだ、韓国には発見されていない素晴らしい音楽が埋もれていると思います。そういったレコードを発見することが、私の人生の大きな一部なのです。

curtis cambou holy grail

Discogs: 今回、選んで頂いたレコードを紹介してください。

Curtis Cambou: 私が選んだレコードは、1972年にUniversal Recordからリリースされた「아름다운 사람아, 아름다운 노래를」というコンピレーション・アルバムです。このレコードは韓国で初めてプレスされたプライベート(自主制作)・アルバムで、Nashvilleという小さなライブハウスに集った幾人かのアーティストによって500枚のみが製作されました。プライベート盤ということで、現在は非常に入手困難なレコードです。といのもこのレコードはライブ会場、または大学の近くにある文房具店でのみ販売されていたからです。70年代のアンダーグラウンド・フォーク・ミュージシャンであるバン・エイキュン、ホン・キュンシュク、キム・テゴン、パク・ドホ、他ミュージシャンがこのアルバムに参加しています。彼らが追求したアコースティック・サウンド、アシッド・フォークなスタイルは、当時流行していた韓国の他のフォークソングとは異なり、暗い雰囲気のトラックにクリアなボーカルを重ねています。アルバムに収録されている全ての曲が深く、調和したものですが、このアルバムのハイライトとして「8번」をお勧めします。


airbear

Airbear

Discogs: 自己紹介を簡単にお願いします。

Airbear: 私はソウル在住のレコード・コレクター、DJ、ビデオ・ディレクターです。韓国系アメリカ人としてカリフォルニア州で育ち、若い頃にレコード・コレクティングを始めました。始めた当時、私はパンクインディー・ロックを主に聴いていましたが、サンフランシスコのヘイト・ストリートにあるアメーバ・ミュージックで働くようになり、サイケデリック、プログレッシブ・ロック、ソウルなど、幅広く音楽を聴くようになりました。

Discogs: Discogsは普段、利用しますか?

Airbear: 昔、GemmやeBayを利用していましたが、今はdowntownseoulというアカウントでDiscogsでレコードの売買をしています。

Discogs: ご自身にとって韓国のレコードとはどのような存在、価値でしょうか?また、韓国のレコードを集めている理由とは何なのでしょうか?

Airbear: 基本的には、DJとしてプレイする為にレコードを購入しています。韓国のレコードでダンス・フロアを盛り上げた時は、特別な気持ちになりますね。また、私にとって韓国の良いレコードを探し出すことは、とても楽しい経験です。もちろん、さまざまな時代のミュージシャンを知ることが出来るという楽しさもそこにはありますね。

airbear holy grail

Discogs: 今回、選んで頂いたレコードを紹介してください。

Airbear: 今回選んだのは、パク・サンシンがジグ・レコーズから1989年にリリースした「SungSin (한번만 더 / 만남 이후)」です。現在、このレコードを見つけることは少し難しくなっているのですが、私の近所にある書店でこのレコードを見つけました。この書店の2階は、ニューヨークのお店「The Thing」を思い出させました。いわゆる、リサイクル・ストアや倉庫みたいなお店です。ある時期、私はシティ・ポップにハマっていて、その手の日本のレコードは韓国で見つけることはそこまで難しくありませんでした。そして、自然な流れで、シティポップに共通するテイストを持つ80年代から90年代の韓国の音楽を探すようになりました。幸運な事に当時その手のレコードは、DJやプロデューサーが探しているようなディスコやファンクより簡単に安価に手に入れることができました。そうしていくうちに、韓国音楽のユニークなキャラクターに惹かれ、もっと韓国のレコードにのめり込んで行きました。実際、今回選んだパク・サンシンのレコードを激レアと呼ぶのは少し難しいかもしれません。というのも、根気よく探せば、今でものこのレコードは比較的に入りやすいものだからです。しかし、このレコードは私が韓国のレコードに興味を持つきっかけとなった、特別なレコードです。また、私がこのレコードをプレイしていると、よくお客さんに「この曲は誰ですか?」と尋ねられますね。このアルバムでお気に入りの曲は「향기로운 그대여」です。ダンサブルでノスタルジックなトラックで、初めて聴いてもなんだか懐かしく聞こえる曲です。キム・ヒュンチョル、チョイ・タイワン、ソン・ホンスブなど、当時のトップミュージシャンをフューチャリングしているので、パフォーマンスのクオリティも最高ですね。


fantasystar

Fantasystar

Discogs: 自己紹介を簡単にお願いします。

Fantasystar: レコード・コレクターで、レコードを売買する為に韓国のあちこちを放浪しています。

Discogs: Discogsは普段、利用しますか? 

Fantasystar: fantasystarというアカウントで、Discogsでレコードを販売しています。レコードを購入する為にも良くDiscogsを使っていますよ。

Discogs: ご自身にとって韓国のレコードとはどのような存在、価値でしょうか?また、韓国のレコードを集めている理由とは何なのでしょうか?

Fantasystar: 音楽はその国や文化に応じて、さまざまなスタイルや形式へと変化します。同じように、私たち韓国人はハングル(韓国語)と人々の感情に由来する独自のニュアンスを持っています。特に韓国の古いレコードのほとんどは韓国でしか見つからないと思います。そういった理由から韓国のレコードは、ユニークで珍しいものとなっているのだと思います。そのような事情を踏まえ、韓国のレコード・ディガー、またはディーラーとして、私が韓国のレコードに強い愛着を持っているのは当然のことだと言えますね。

fantasystar holy grail

Discogs: 今回、選んで頂いたレコードを紹介してください。

Fantasystar: 今回選んだのは、2020年にリリースされたザ・サウス・コリアン・キングスの「Self Ethnography」です。正直なところ、今現在、激レアと言えるレコードをあまり所有していません。レコード・ディーラー故にほとんどのレコードを売ってしまったのです。また、ほとんどのレア盤は多くのメディアによって既に紹介されていると思います。そこで、今回は将来レアになりそうなレコードをピックアップしました。このアルバムには私のお気に入りのジャズ・ミュージシャンが多くフューチャリンされていて、去年発売されたレコードの中で一番私を満足させてくれた一枚だったと言わざるを得ません。このアルバムは韓国らしい要素をアヴァンガードフリージャズにうまく落とし込んでいて、韓国のジャズ史上で記念碑的なアルバムと言っても過言ではないと思います。更に、レコードのプレッシング・クオリティも素晴らしく、アートワークもバンドが追求するものをうまく表現していると思います。大事なことを一つ言い忘れましたが、これは300枚限定に制作されたプライベート・プレスなので、コレクターにとっては非常に魅力的なアイテムになると思います。このアルバムをどこかで見かけたら、ぜひ手に取ってみてください!

(ブログのトップ画像はMary Harrscが「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」の為に撮影した画像で、今回はレコードを付け加えています。)


Keep Digging

Want to join the Discogs Community of music lovers?
Sign up for an account and subscribe to our newsletters for music articles, contests, limited-edition vinyl, and more.
––––
Return to Discogs Blog

Why leave a comment when you can join a conversation?

Comments are not available for this post, but the forum is a great place to share your thoughts and exchange ideas with the Discogs Community.

Join the conversation, or start a new thread in the Discogs forum.

You can learn more about why we’re no longer hosting comments on our blog in this post.

×