Discogs 実験室:レコード・クリーニング方法を求めて

レコードのクリーニング方法は、レコード・コレクターの間で常に話題になるトピックの1つですよね。良いコンディションでレコードを維持する事の重要性は、みなさん同意見だと思います。良いコンディションをキープすることのメリットは沢山あります。レコードの寿命を延ばし、より良い音で再生し、針による磨耗を防ぎます。更に、レコードの価値をあげることにも繋がりますよね。

しかし、どの方法がレコードにとってベストなのかはみなさん意見が別れるところで、明確な答えがないように思えます。ブラシ、またはマイクロファイバーの布を使用しての乾拭きだけでは、完璧な解決策とは言えないと思います。レコードの寿命を伸ばす為には、より確かなアプローチが必要になるでしょう。

レコードをとても慎重に扱っている人でさえ、時にはレコードの盤面に手が触れてしまうと思います。そして、手の油分によってレコードの材質を時間の経過とともに痛めてしまうかもしれません。また、適切な方法でレコードを保存しておかないと、湿気の多い部屋ではカビによるダメージを被ることになります。古道具屋やガレージセールで見つけた、汚れたレコードは言うまでもありませんよね。どこでどのように保管されていたのか知る由もありません。レコードを最善の方法でクリーニングすることは、このようなダメージからあなたの大事なコレクションを救うことに繋がります。

以前に Discogsブログ(英語版)で、レコードをクリーニングする為の効率的なプロセスをご紹介しましたが、他のクリーニング方法や洗浄液について紹介するまでには至りませんでした。多くの人がそれぞれのお薦めのレコード洗浄方法や洗浄液を支持する中、私たち自身がテストを抜きにしてはあまり多くを語りたくなかったのです。そこで今回、私たちは意を決して白衣に身を包み、できる限りの汚れたレコードを手に、しかも洗浄マシーンに頼らず!、いくつかのクリーニング方法と洗浄液をテストしてみました!

 

レコード・クリーニング方法:自宅でお手軽編

まず試してみたのは、インターネットでもよく目にする自宅で行えるお手軽なクリーニング方法です。まず一つ目は、単なる「水道水」。二つ目は、よく使われている「自家製クリーニング液」。そして最後は、最も心配される方法かつ熱烈な支持を得る「木工用ボンド」です。木工用ボンドって、ちょっとヤバいですよね。。。

水道水

とっても簡単で安価なこの方法。とりあえず蛇口をひねって、水道水でレコードをジャブジャブとそそぎます。

あっという間に終了です。しかし、みなさんも予想されていたかもしれませんが、単に水をそそぐだけでは頑固な汚れを取り除くことはできません。しかし、ちょっと驚いたことに、マイクロファイバーの布を使って適度な圧で拭いてみると軽いシミは消え、以前よりは幾分かキレイになりました!

とは言いつつも、この方法はお薦めできないかなと思います。この方法に時間をかけるなら、他の方法を使って同じ時間でもっとキレイになる方法があると思います。

評価 :2(5段階評価)
まとめ: 簡単で早い。 しかし、手抜き。。。
もっと良い方法でクリーニングしましょう。


自家製クリーニング液 (イソプロピルアルコール、蒸留水 、 食器洗剤 )

このクリーニング液は家庭にある材料、または見つけやすいものを使って、効果的にレコードをキレイにする方法として広く支持されています。クリーニング液の配合ですが、イソプロピルアルコールと蒸留水を1対1で割り、食器洗剤を1滴から2滴ほど混ぜます。とても簡単に計量し、混ぜることができました。このクリーニング液を吹き付けるために、オンラインで安価なスプレー容器を注文しました。(節約したい方には、スプレー容器は必要ないかもしれません。)溶液をレコードにスプレーしたら、マイクロファイバーの布を使い、円を描くように軽い圧力をかけて汚れを拭き取りました。

スプレー後、盤面に光沢のある薄い膜のようなものが見えたので、すすいで膜を取り除く必要がありました。以下のビフォア・アフターの写真を見ての通り、この方法によってかなりの汚れが取り除かれました。しかし、我々が今回使用したNeil Diamondのレコードには、いくつか頑固に汚れた箇所があり、その箇所まで取り除くことは出来ませんでした。写真ではお伝えすることが出来ませんが、この方法に結構な時間と仕事量を必要としました。後ほど、このレコードを専門的な方法でクリーニングした所、より簡単にタフな汚れを取り除くことに成功しました。

評価 :3(5段階評価)
まとめ: 手頃に表面の汚れを取り除くことが出来ましたが、より頑固な汚れ部分まで取り除くことは不可能でした。


木工用ボンド

強硬派のお薦め方法である、木工用ボンド。よくレコードに関するフォーラムで目にする方法ですが、私はタチの悪い冗談だなとぐらいに思っていました。しかし、一定の人達からは頑固な汚れを落とす頼みの綱として使用されている方法のようです。

この方法は、ちょっと面倒くさいです。と言うのも、木工用ボンドの扱いが少々大変なんです。汚れて捨てても構わない手袋と敷物が必要になるかもしれません。写真からお分かりのように、盤面に木工用ボンドを均一に塗ることは意外と難しい作業です。木工用ボンドもかなりの量が必要になりそうです。今回、片面をコーティングする為だけに木工用ボンドのボトルの約5分の1を使用しました。恐らくこんな感じだと、1瓶で10枚以下のレコードではないでしょうか。(慣れてくれば、もっとボンドを節約できると思いますが。)

何よりこの方法は、今回試した方法の中で最も時間を要するものでした。この方法を完了させる為には、木工用ボンドを乾燥させ、乾燥後にボンドのパックを剥がし、すすいで乾燥させます。ボンドを安全に乾燥させるためのスペースも必要になりますね。
(Discogsの日本スタッフも以前この方法を愛用していましたが、パックを剥がした後は軽く湿ったクロスで拭く程度で十分だと思います。また、縁の部分だけボンドを厚めに塗っておくと、乾燥後のボンドを剥がしやすくなります。)

これは言っておきたいのですが、乾燥したボンドを剥がす瞬間は爽快です!

この方法は、今回の実験した方法の中で最も驚くべき結果となりました。一番汚れているレコードを使用したのですが、ほとんどの目立った汚れを取り除くことに成功しました!素晴らしい!

ネガティブな点としては、片面をクリーニングするだけで約1ドル分ほどの木工用ボンドを使用した点ですかね。。。たくさんの枚数をクリーニングしてしまうと、結構な額になってしまいます。もし、ケタ外れに汚れたレコード、または友達を驚かせたい際にこの方法を試してみるのも良いかも知れませんね。

評価 :2.5(5段階評価)
まとめ:かなり効果的に汚れを落とすことはできましたが、費用的、手間的にも普段からは使えないでしょう。

レコード・クリーニング方法・洗浄液:プロフェッショナル編

巷には、数え切れないほどのレコード専用洗浄液が市販されていますよね。ほとんどのものがお手頃な価格で、簡単にレコードをクリーニングすることができます。今回は、(主に欧米で)有名な洗浄液を試してみます。各社の主張通りキレイに仕上がるのでしょうか?

Near Mint

まず初めは、Discogsの同僚のお勧め、Near Mintの洗浄液です。Near MintはDJ兼レコード・ディガーであるRuss RyanとMo Fingazによってイギリスで開発されました。彼らのウェブサイトによると、「Near Mintは、現在の市場において最も効果的で化学的にバランスのとれたプレミアム・レコード洗浄液であり、2倍の効果を誇っています。」とのことです。また、彼らはレコードショップ、レーベル、そして業界の人々と共に限定コラボ・ボトルを製作し、世間を賑わしています。

彼らはロンドンのレコード・フェア・シーンでも精力的に活動し、年に12回レコード・フェアを開催しています。今回は、見た目もカッコ良く、マイクロファイバー・クロスが付属する X Sister Ray – 360 Vinyl Cleaning Solutionを使用しました。(ロンドンの有名レコード・ショップ、Sister Rayとのコラボ・モデル。)

洗浄液の使い方は非常に簡単です。ホワイトのマイクロファイバー・クロスが付属しているので、レコードをクリーニングする為に特別他のものを用意する必要はありません。クロスでレコードを拭いてみると沢山のホコリや汚れを取り除くことができました。先ほどのお手製の洗浄液ではこうはいきませんでした。白色のクロスには汚れがどっさり付いていて、いかにキレイになったか一目瞭然です。レコードは見事に輝きを取り戻しました!

評価 :4.5(5段階評価)
まとめ:万能な洗浄液で、棚に置いても良い感じです!


GrooveWasher

GrooveWasherは、Bruce Maier博士という微生物学者の発明にインスパイアを受け、博士の意志を継ぐ洗浄液です。博士の有名な発明であるDiscwasherキットは、1970年代の登場した洗浄液のうちの1つでした。GrooveWasherは、レコードやレコード針を傷つけることなく正確な音が再生できるように、レコードの溝をキレイにするクリーニング・ツールを提供しています。

GrooveWasherキットは、機能的にとても完成されたものです。他の洗浄液では、掃除を始めるために蒸留水やマイクロファイバーの布を購入する必要があるかもしれませんが、このGrooveWasherキットには必要なものがすべて揃っていて、非常に便利です。ディスプレイ・ブロックを使うと、上記の写真のようにグッズを綺麗に収納することができ、見た目もいい感じです。

特に私たちが感心したのは、持ち手付きのマイクロファイバー・クロスです。圧力をうまく分散させて盤面を拭くことができ、手が盤面に当たってしまうこともありません。このキットを使用してレコードをクリーニングしたところ、タフに見えた汚れを瞬時に撃退することができました!クリーニングするためにわずかな量の洗浄液で十分だったので、洗浄液は長持ちしそうです。


現在、DiscogsはGrooveWasherとはパートナー関係にあるのですが、彼らのブランドの素晴らしさを理解した上でパートナー・シップを結びました。頑固な汚れを簡単に取り除くことが十分にできるキットです。また、とてよくオーガナイズされたもので、どんなターンテーブル・セットの横に置いても素晴らしいルックスだと思います。上記の写真のスタンドはついていませんが、お手頃で Discogsのロゴ入りスターター・キットが Discogsのショッピング・ページから購入できますよ!スタンドやスタンド付きのクリーニングセットなどの全商品が、GrooveWasherからチェックできます。

評価 :4.5(5段階評価)
まとめ:マイクロファイバー・クロスなどレコードをクリーニングにする為に必要なものが全て揃っています!


TergiKleen™ (Tergitolベース濃縮液)

この実験を企画した時、まずこれを試してみたかったのです!米国議会図書館がレコード・クリーニングに使っているという脱イオン水と0.5%のTergitol 15-S-7の混合溶液です。(Tergitol 15-S-7は、米国団体が商標登録しているもので、かなり簡単にいうと界面活性剤の一つのようです。) まず、Tergitol 15-S-7を手に入れようと思ったのですが近くのお店では手に入れることができず、オンラインでしか購入できないことがわかりました。しかも、購入できるものは今回の実験には非常に高額で、かなりの容量のものでした。。。この方法を試すためにはTergitolを希釈する必要があるのですが、その量を購入し希釈するとレコード・コレクターの一生分はあろうかという量になってしまいます。そんな時、同僚からあるものを提案されました。TergiKleenというものなのですが、Tergitolに由来し、蒸留水と希釈することで米国議会図書館が使用している溶液とほぼ一致するものです。

TergiKleen Tergitol Vinyl Record Cleaning Solution

まず、パッケージにある説明書きを見て、細心の注意を払って始めることにしました。この濃縮液には蒸留水が含まれていなかったので、蒸留水を購入する必要があり、その分コストが少し上がってしまいました。説明書きにはレコードを溶液に浸すために、ケーキの焼き型を使用することを勧めていますが、私たちのオフィスに焼き型はないのでブリキのバケツで代用することにしました。

説明書通りにこの方法を試すにはTergiKleenの他に、バケツまたはケーキの焼き型、蒸留水、手袋などが必要です。こうした手間を考えるとおそらくこの方法は最善の策ではないのかもしれません。しかし、以前に私たちが紹介したSpin-Cleenのような専用マシーンと組み合わせて使えば、ベストな方法なのかもしれません。蒸留水で希釈した際のコストとしては、最も安価な方法だと言えます。

結果として、TergiKleenはかなりパワフルな効果を発揮しました!一番汚れていたレコードを使用したのですが、テスト後はかなりキレイな状態になりました。

ほんの数滴のTergiKleenで数百枚のレコード・クリーニングが出来るはずなので、TergiKleenが一つあれば、ほんとんどのレコード・コレクターの方にとって2年は使えそうです。数百枚の汚れたレコードをお持ちの方であれば、TergiKleenはかなり良いクリーニング方法だと思います。(数千枚単位の汚れたレコードをお持ちの方や完璧主義者の方にはそうではないかもしれません。)次回、クリーニング・マシーンを使用したレコードの洗浄実験をする際には、これをもう一度試してみたいと思います。

評価 :4(手作業で数枚を試した場合)/ 4.5 (クリーニング専用のマシーンを使って数百枚を試した場合)(5段階評価)
まとめ:驚くほど効果的な方法。レコード・クリーニング専用マシーンを使用すると効果倍増の期待大。

 

今回は主に欧米で使用されている方法や洗浄液をご紹介しましたが、皆さんが試されている方法や洗浄液はどのようなものでしょうか?Discogsの日本スタッフが最近耳にした方法で、某ブランドの歯ブラシの毛先がかなり細くて柔らかいため、レコードの汚れをかなり除去できるというものがありました。何か面白い方法やおすすめの洗浄液があれば、ぜひコメント欄にメッセージをお願いします!


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